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本にまつわる話の話

意味もなく拾い上げた本から落ちた白い羽が宙を舞い、いつまでも落ちようとしないので見ていた。手のひらに取ろうとすると風が起こったのかするりと手の甲へ回ってしまい、裏返すとまたひらひらと宙へ戻っていく。何度かそんなことを繰り返しているあいだに…

雨宮まみの「セックスをこじらせて」

http://www.pot.co.jp/kojirasete/20110328_043104493922840.html こんなにまっすぐに女の欲望について書ける人を知らない。そのねじれさえも。

物語を書くということ

空中キャンプさんのこの言葉が私を勇気づけたという事実が、物語の必要性を雄弁に語っていると思うのだ。 「一年後、五年後、もしくは十年後に、人びとは災禍と向き合い、それを精神的に克服するための物語を必要とする。人びとがそれをどのように経験し、な…

さよならだけが人生だ

いちおう、元ネタかなぁっていうものせておきましょうかねぇ。 この盃を受けてくれ どうぞなみなみつがしておくれ 花に嵐のたとえもあるぞ さよならだけが人生だ (井伏鱒二訳:于武陵「勧酒」) 最後の二行は神がかってるなと思うくらい好きです。

パリ・トライアングルの続報

ギズモードの記事: http://www.gizmodo.jp/2008/10/post_4406.html 元ネタDezeenの記事: http://www.dezeen.com/2008/09/29/le-projet-triangle-by-herzog-de-meuron/ 「from the architects」ということは、直接声明が各社宛に出たということなのでしょう…

結婚式、コリント人への手紙

結婚式って、たいへんだなぁと思う。いつも自分がサービスする側だったので、本当にひさしぶりにサービスされる側にまわって結婚式に参加したのだが、この準備をたった数ヶ月で行った新郎新婦と周囲の人々のパワーやら、熱意やら、誠実さやらに圧倒された気…

グッドマン「いつ芸術なのか」レジュメ

この間の会で発表した原稿の抜粋をここにも置いておきます。下のエントリとあんまり変わらないことを言ってるようですが、「いつ芸術なのか」のだいたいの感じはつかめると思います。読むのめんどいなーっていう人はこれをみて面白がったりつまんながったり…

セザンヌの山

メルロ・ポンティ「眼と精神」に、以下のようなくだりがある。 山そのものがあちらから、自らを画家によって見られるようにするのであり、この山に向かって画家はその眼なざしで問いかけるのである。 だが、本当のところ、画家は山に何を求めているのだろう…

哲学者:バークリ、ヒューム

とりあえず、ここでおしまい。次はカントなので、片手間ではちょっと…。っていうとイギリス経験論の哲学者をよく知る人たちに怒られてしまいますが。 2008/02/11追記:「バークリ」「ヒューム」等で検索してここへ来られたみなさんへ。このような記述は蛇足…

哲学者(1632-1704):ロック

わけあって、イギリス経験論をまとめております。ここにアップして皆様のご批判を乞うものであります。今日はロック。 ■ John Locke:『人間知性論』 彼の提示した概念の中でも重要なのは、観念(idea)である。もともと「形」「姿」などの具象的なものを意…

パトナム「可能性と必然性」

t-hirosakaさんの指摘をうけてイロイロ読み直しているうちに発見した一節。 ヒラリー・パトナム「可能性と必然性」(『実在論と理性』[1992年、勁草書房]所収)、p.101 …つまり、経験的な理由からして論理を改訂しなければならないという事実から、「すべて…

To Zion

バランスを保つのがどういうことかなんてよくわからない わたしはお腹を触った 自分がしてきたことに打ちのめされながら でも、それから、ある日、天使がやってきて ひざを折り、祈りなさいと言った わたしのために、生まれるてくる子どものために ああ、な…

ウェーバーの罪と罰

先日提出し意外と好評を博したウェーバーレポート。 しかし今見ると恥ずかしさに穴に潜りたくなります。あああ穴をください。 おろかなので友人に促されるままに公開してみます。とくとご笑覧あれ。 *** ウェーバーの罪と罰 〜安藤英治のウェーバー観を通し…

「2001年度プリツカー賞を受賞して」

ジャック・ヘルツォーク・アンド・ピエール・ド・ムーロン「2001年度プリツカー賞を受賞して」『a+u H&deM』2002年2月臨時増刊、彰国社、pp.6-11(Jacqus Herzog,"The Pritzker Architecture Prize 2001", The Hyatt Foundation, 2001)プリツカー賞受賞の際…

「ヴァーチャルハウス」

ヘルツォーク&ド・ムーロン「ヴァーチャルハウス」このテキストを載せている本は実は2冊ある。 一冊は『SD』1998年2月号、もう一冊は『InterCommunication』no.24(1998.04)。(他にあれば教えてください。) SD誌の方は篠原一男との往復書簡のはじまりと…

"Beauty and Atmosphere"

"Beauty and Atmosphere(The interview with H&dM)" in : Philip Ursprung(e.d.), Herzog & de Meuron NATURAL HISTORY, pp364-365Philip Ursprung: 人は時々、あなた方の最近の作品は、たとえばプラダ東京のようなものは、虹色に輝く石鹸の泡のみたいに、空…

"Imprints and Moulds"

"Imprints and Moulds(The interview with H&dM)" in : Philip Ursprung(e.d.), Herzog & de Meuron NATURAL HISTORY, pp244-245Philip Ursprung: あなた方の仕事(作品)における主要な概念は写真ですね。H&dM: もう一度、我々の中心的な関心事へ戻りますと…

「隠れた自然の幾何学」

『素材の美学』p128-149、ヘルツォーク&ド・ムーロン「隠れた自然の幾何学」初出は、Birkhouserより97年刊、Gerhart Mack "HERZOG & DE MEURON, 1989-1991"。 ちょっと、訳がこなれてないような感もあるけれど、そこは英文併記の強み。いざとなったら原文に…

「純粋化への意志」

『10+1』no.20 南泰裕「純粋化への意志」南は論文の中で「不純な建築の純粋化」を2つの位相において語ろうと試みている。 その1つは、建築は、さまざまに存在する判断水準の序列化や重要度の確定を必要としていること、つまり「建築にとって何がもっとも重…