ホラーとスパイとゲリラ戦、それからロッキーもね。

うっかりしているとこういことになる。うっかりは怖い。観た映画が結構あるのに、もう思い出せないもん…。
記憶が頼りにならないから備忘録をつけ始めたのに備忘録をつけることそのものを忘れていました。こういうの、なんていうんだっけ。ミイラ取りがミイラじゃなくて、まあ、いいか。


クリード


ロッキーを観たことがないのにこれから観ました。面白かった!スタローンがすごくおじいちゃんで驚きました。
とてもシンプルなスポコン映画で、主人公の2人の純愛だったり、老ボクサーとの絆だったり、物語ってこういう風にできているんだっていう核の部分が明快で、個人的にはとても好きな映画でした。
いろいろと、シリーズを見ていればわかるシーンなどもあったようなのですが、知らなくても充分楽しかったです。愛の冷めてきた夫婦におすすめしたいです。


ロッキー


クリードを観て、ロッキーを観ていないのはやっぱり、もったいないかなということで。面白かった!いい映画。スタローンて案外ちゃんとした脚本が書ける人なんだということをこの映画で改めて認識しました。クリードの意味がいろいろと明らかになったのもよかった。ロッキーってこういう、動物を愛護するキャラクターだったのか、というのは目からうろこでした。気は優しくて力持ち。スタローンがかっこいいって思ったのは初めてだったので、スタローンってなんかムキムキした人だよねくらいの認識しかない人にはおすすめしたいです。


イットフォローズ


町山さんがおすすめしてたので。面白かったけど、地味なホラーでした。デトロイトのものすごく荒廃した感じと、若者の閉塞感のようなものは感じ取れた。セックスすると感染する「何か」が実体を持って襲ってくる、というのがじわじわ怖い。のろいとかじゃなく、物理攻撃なので頑張れば逃げられる。でも、必ず追いつかれる。そういう切迫感と、自分が誰かにうつせばどうにかなるかというと、うつした相手が死んだらまた自分に戻ってくるだけなので、その相手も含めて逃げ続けないといけないっていうあたりが、逃れられない感を強くしており、主人公がそこで誰かにうつして時間稼げばいいやって終わらないところに誠意を感じました。あんまり人にすすめられないけど、ホラー大丈夫ならみてみてもいいかなと。


ババドック


これもまた、町山さんレコメンドより。シングルマザーと子供を襲う奇怪なおばけの話。イットフォローズよりはこっちのが面白かった。中盤くらいまで、主人公の感じている恐怖が主人公の妄想でしかないのか、実体があるものなのか、が不明確なまま描かれるので、サイコスリラーなのかなって思いましたが、途中からちゃんとおばけの実体がでてきました。

はっきり言ってこんな子供がいたら母親は大変だろうなと思うし、かばってもかばっても報われないと思ったら精神もおかしくなるとも思う。で、ただでさえそんな状況なのに、ババドックっていう外的脅威が現れて、ますます混乱していく母親の泥沼が前半のハイライト。このとき、母親が周囲から完全に孤立しているために「この現象は客観的に見るとこうである」という第三者視点が排除されてしまいます。実際にはババドックがのりうつっているわけですが、周囲からはそれが見えない。
で、これまでは妄想癖と奇行癖のある少年だと見えていたものが、実はただ本当のことを言っていただけだった、ということがババドック登場により明らかになり、そこからは少年と母親の、ババドックを退治するための戦いへと変わっていきます。つまりババドックという実体が私たちにも見えることによって、少年とともに、私たち自身がかのシングルマザーの家庭の状況の目撃者となっていく。このあたりの転換が上手だなーと。後半なんて少年がヒーローですからね。
最終的にババドックを飼いならすということで決着するんですが、私たちはそういう経緯を全部見ているから納得できるけど、そういうこと全然知らないけど、その2人をそのまま受け止めてくれる隣の老婆が本当に救いで、なんというか、家族ってとても閉じたものだけど、やはりどこかに信頼してくれる他者がいることで持っているものでもあるのだなと、社会との絆の大切さのようなものを感じました。ああいう老婆が居てくれる場所に住みたいですね。


アンクル


薦められたので。面白かった!久しぶりにガイリッチー映画を観ました。
個人的にはアーミー・ハマーさんが出ていたので楽しんで観られました。ハマーさんはああいう役が似合うと思う。というかあまり出演作がない中でなぜか3作くらいハマーさんの出ている映画を観ています。
ヘンリー・カヴィルはもうボンドでいいんじゃん、と思いましたが、ボンドはダメなんですかね。
結局スパイ映画を撮るには冷戦って不可欠であり、現代においてスパイ映画を撮るのはムリ、っていうのを露呈してしまったような気もするのですが、爆弾を敵役に投下してドカーン!終了!的ラストが観られてすっきりしたのでヨシとします。今じゃああいうラスト撮れないよね…。
ぜひ続編みたいですけど、続編撮る予定がないようで残念…ハマーさんの出演作で続編が撮られる日は来るのでしょうか…。


ディーパンの戦い


カンヌ受賞作とのことで。面白かったです!これはいい映画。
前半は偽装難民が苦労しながら徐々に家族のつながりを深めていく話なのかなと思ったのですが、最終的に終わってみると、ディーパンが無類の強さを発揮して窮地を切り抜けるアクションムービーだったという。ゲリラ戦を戦い抜いてきた英雄は、フランスの郊外でやさぐれているような不良とはやっぱり違うと。フランスにおける荒廃と、なんとか生き抜いていこうとする移民のたくましさの感じられる映画でした。でも殺人はよくないと思う。