インサイド・ルーウィン・デイヴィス、ゴダール2作

コーエン兄弟案外面白いというのと、オット氏のゴダール穴埋めチョイスによりこのラインナップ。
私はほとんどゴダールって見たことがなくて、なんというか映画を観る以上はもうちょっと初期のやつとか見ておくべきなのかと思いつつ、放置。気狂いピエロとかみてみたいんですけど、なんかタイミングを失って今に至る。


コーエン兄弟の割と最近のやつ。淡々とした映画でした。コミカルじゃないほうのタイプでしたが、淡々と最後まで見られるのは、音楽が随所に差し挟まれているからかもしれません。
売れないフォークシンガーのルーウィンが、知人・友人のところを転々としながら食いつないでいく様が描かれています。エピソードは大げさなものはなくて、日常で私たちが出会うようなもの、たとえば、大切な友達が死ぬとか、父親が認知症で入院するとか、たまたま関係をもった女性が妊娠するとか、猫が行方不明になるとか。その中でルーウィンは次第に、自分の才能と金儲けとは無縁であることを知り、それでも歌うことから離れられずに夜な夜なステージに立ちます。時代はようやくボブ・ディランが登場し、フォークソングに光が当たり始めたころ。派手ではないけど、自分がもっているものでなんとかやっていこうとする主人公の、諦めと開き直りがまざったヤケクソな歌声が胸に響きました。ちょっと落ち込んでるときとか、ひとりで見るといいかもしれません。


ウラジミールとローザ [DVD]

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ありきたりの映画 [DVD]

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ゴダールがジガ・ヴェルトフ集団として作成した2編。ゴダールにほとんど親しんでいない私としては、『ウラジミールとローザ』の方が見やすかったです。まだストーリーがあるし。とはいえ、登場人物たちはめちゃくちゃこっち見てくるし、なぞのテニスシーンはあるし、というかこれで映画になるのか、という驚きさえ感じました。正直、なんじゃこりゃ、って思いますが、なんとなく最後までいってしまうのが不思議。
『ありきたりの映画』のほうはかなりの金太郎飴ぶりで、途中でもしかして、これ永遠にこのままなのかと思い早送りしてみたのですが、本当にそのままでした。タルコフスキーよりもすごい金太郎飴感。どこで切っても中身が同じ。これをどうして100分もの長さに編集したのかと。もうこうなったらこの長い会話の連続によって私たちが疲弊するのを待っているとしか思えない。内容は共産主義華やかなりし頃のデモの話ですが、デモの映像はすごいなと思うのですが、話している内容も現代にしてみたら古くなってしまっており、なんというか、苦行。
ゴダールが好きで好きでたまらなく、ゴダール作品を全部みておきたい、という方以外は見なくてもいいかなーと思いました。ゴダールの中でもっと面白いの他にあるよ。