「2001年度プリツカー賞を受賞して」

ジャック・ヘルツォーク・アンド・ピエール・ド・ムーロン「2001年度プリツカー賞を受賞して」『a+u H&deM』2002年2月臨時増刊、彰国社、pp.6-11(Jacqus Herzog,"The Pritzker Architecture Prize 2001", The Hyatt Foundation, 2001)

プリツカー賞受賞の際の、ヘルツォーク&ド・ムーロンのコメント。*1演台で発表したのはジャック・ヘルツォーク。卒論用にメモと、訳文の照らし合わせ。
以下は、師匠アルド・ロッシの建築に対する考え方について述べた部分の抜粋。

architecture can only survive as architecture in its physical and central diversity and not as a vehicle for an ideology of some kind. It is materiality of architecture that paradoxically conveys thoughts and ideas. In other words, its immateriality.
 
建築はなにがしかのイデオロギーのための手段としてではなく、その物理的多様性やその核となるものの多様性においてのみ存続できるのです。逆に思想や考え方を伝えることが建築の重要性であり、いいかえれば、その非物質性が重要であるともいえます。

イデオロギーのための手段」というより「イデオロギーの(伝達)手段」で良いような。
「核となるものの」ももっと愚直に「中核の」にしたい。
「逆に」っていうのはもう少し正確に「逆説的に」。
「materiality」は「重要性」でいいのだろうか…。「immateriality」のことを考えると「物質性」の方がしっくりくるんだけれども。「逆説的に」って言ってるしな。
 
私まとめの訳は以下。
 
「建築はなんらかのイデオロギーの伝達手段としてではなく、その物理的、そして中心的多様性における建築としてのみ存続できる。それは、建築の物質性であるが、その建築は逆説的に思想やアイデアを伝達する。別の言い方をすれば、それは建築の非物質性である。」
 
…うーむ、明らかにヘタクソだが、自分用なのでヨシとします。
というわけで、様態として物理的に存在する建築が、人々に働きかけることによって逆説的に非物質性を帯びる、アルド・ロッシはそう考えていたようだ。
この非物質性っていうところ、ヘルツォーク&ド・ムーロンはものすごく影響を受けていると思う。