book-和書

続・パプリカ

筒井康隆『パプリカ』(新潮文庫) by amazon.co.jp 筒井康隆の原作『パプリカ』(新潮文庫)を読んだ。 原作の白眉は、やはり夢を描いた部分にあった。特に、千葉敦子が目覚めていないことに気がつかないまま敵の手中に落ちていく際の描写は、ぞっとするほ…

『chori』

世の中には、面倒をみてあげたくなる人というのがいて、choriというのはそういう人なのだと、この本を読んでいて思う。周囲が手出しせずにはいられないような危なっかしさ、と無鉄砲さ、がこの人にはある。 詩という響きのもつ、純粋な詩らしさが、ここには…

chori

とても良い詩集だと思います。

百日紅

今は亡き、杉浦日向子さんの作。北斎、その娘栄、居候の善次郎を中心に江戸と浮世絵の世界を描く(ちくま文庫だから小説とおもいきや、漫画である)。 この手の(歴史や古典を扱った)漫画で思い出すのは、皇(すめらぎ)なつきさん。最近新刊をみないけど、…

最終兵器彼女

産道、胎児、生成と消滅。マリア、アダム、イヴ。何重にも入れ子になった世界。それに重なり合う「恋していく」二人。「ちせ」という世界。 最後の、「ちせ」のリアリティ、描写の仕方がすごい。もしかして、何かへのオマージュなのかとも思うけど。ぼんやり…

うらおもて人生録

いいかい。ここいらへんの俺のいいかたは棒のように受けとらないでおくれよ。言葉を受けるキャッチャーの方にセンスが要求されるよ。くりかえすけれども、実力の部分では毅然と、運の部分では用心ぶかく、手さぐりで、おずおずと。 (色川武大『うらおもて人…

courrier japon

編集長のブログ:http://blog.moura.jp/courrier_koga/ 手軽に世界中のニュースが手に入る雑誌とかあればいいのにと思っていたら、できてしまった。それで早速買ってみたのだが。うーん。無難すぎる。隔週で発売なのだが、これは隔週の内容ではないだろ、と…

いくつもの週末

いくつもの週末 (集英社文庫)作者: 江國香織出版社/メーカー: 集英社発売日: 2001/05/01メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 21回この商品を含むブログ (66件) を見る 意図して避けてきた江國香織が、ついに手元にやってきてしまった。ある人から頂いたのだけ…

心にいどむ認知科学

『心にいどむ認知脳科学』酒井邦嘉、岩波書店、1997 気になったところの要約。 p.5 心が働くためには、脳のあるまとまった部分が必要…このレベルでは脳はシステムとして働いている。 だとすると、心にもシステムがあるのではないか。 p.17(こころの定義) 心…

「言葉は悪を語れない。悪は黙って行なわざるを得ない」 言葉が、他者へ伝えられるためのものであるかぎり、それは、「善(愛)」でしかあり得ない。 というあまりに短くしすぎて筆者の真意も分かりかねるようなメモを残しておきましょう。これは忘れちゃい…

菅野盾樹『人間学とは何か』産業図書、1999 筆者は、いわゆる心身二元論(とそれに伴う一元論である唯物論や観念論)を乗り越え、「記号機能をいとなむひと」という観点を取り込んだ「ホモ・シグニフィカンス」という人間像を提出することによって、「人間」…

『素材の美学』

エルウィン・ビライ『素材の美学』。共立出版株式会社より、¥2,800。「CREATORS LIBRARY」シリーズの第2巻にあたる。 さまざまな論文(もしくは著書)を断片的にとりあげ、「素材」というテーマを考察する手掛かりにする。 優れて教科書的な本。そもそもこ…

『スクウォッター 建築×本×アート』

大島哲蔵の批評集。学芸出版社から2000円。 かなり以前からウェブ上で「SQUATTER」という本屋の存在は知っていて、なんだか面白いことをやっているなぁという感想を抱いてはいたんだけど(今はこの本屋ウェブは閉鎖しているはず)、それと全く同じタイトルの…

『ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を読む』

野矢茂樹著。哲学書房より2400円。 著者の野矢さんが集中講義にいらっしゃると言うので、しっかり読み返してみた。 私は難解な本を読むのがとことん不得手で、その割に難解なんじゃないかという分野に積極的に関わっているので頭が痛い。ところでこの本は建…

『日本の家』

日本の伝統的家屋によく用いられてきた言葉を中心として、その由来や意義、情景を豊富な写真とともに丁寧に綴る。 (参考:http://www.toto.co.jp/bookshop/cont/ja/bk_detail/212-5.htm) 前回に引き続きTOTO出版。 辞典のように言葉を見出しにして並んでい…

『建築の終わり』

岸和郎、北山恒、内藤廣ら70年代に建築を始めた3人の建築家による建築対談集。各々の学生時代の話、卒業制作から始まり、70年代建築思想を通して現代まで連なる建築の諸問題、様相を語り合う。 各対談ごとに、笠原一人と日埜尚彦による補足的なテキストを…