『建築の終わり』
岸和郎、北山恒、内藤廣ら70年代に建築を始めた3人の建築家による建築対談集。各々の学生時代の話、卒業制作から始まり、70年代建築思想を通して現代まで連なる建築の諸問題、様相を語り合う。
各対談ごとに、笠原一人と日埜尚彦による補足的なテキストを挟み、現在建築を始めようとしている00年代の人間(私のような)にも分かり易い内容となっている。
「建築の終わり」といういささか過激なテーマをかかげた本だが、内容はその直接的なタイトルからもわかるように実に切実で現実を見ている。70年代に建築を始めた3人の危機感が痛いほどよく伝わってくる出来である。
また近現代建築思想の概説としても読め、ざっと数え上げられる建築家や評論家─アーキグラム、ピーター・アイゼンマン、ジョゼッペ・テラーニ、ロバート・ヴェンチューリ、コーリン・ロウなどなど─の名前を追うだけでも価値があるだろう。
基本的なキーワードは、モダニズム、architectureとbuilding、そしてWTC(ワールド・トレード・センター)とグッゲンハイム・ビルバオである。
しかし言説として語られる彼らの「建築」が目に映る building として現れたときに、果たしてそれは「古典主義」「モダニズム」を妄信ではなく偽装しているのだと明示できているのか。この笠原の最後の問いは、物質として立ち現れざるを得ない建築を考えていくうえで、非常に示唆深い。
参考:http://www.toto.co.jp/bookshop/cont/ja/bk_detail/221-4.htm