2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

いしよ

すれ違いざまにする挨拶さえしたことのない人の遺書をみかけて、この人が私にしてくれたことを思い出し、それが彼の行った最後のことだったらと思い、それは完全な偶然なのだが、にもかかわらず、私がここに記述することで何らかのまとまりを得るのだと思い…

薄型民芸: こけし

贈り物で、こんなものをいただいたのだった: 見ての通りこけしなのだが、薄い: このうすっぺらいこけしさん、「薄型民芸」といって民芸品をうすっぺらくデザインし直している商品のひとつ。薄型テレビの上にも置けるようにっていう発想が小憎らしい。 公式…

スケルトンっていうけど

どうしてこうなった。

匂いの記憶

いま不意に、10年前好んでつけていた香水の匂いがした。男物で、甘くない骨格のしっかりした匂いが気に入っていた。でもたった一度買いそびれて以来、買っていない。そのとき付き合っていた人に、香水をあげた。自分とは違う匂いだった。ずいぶん押しつけが…

高橋源一郎「さようなら、ギャングたち」

書評が勉強になる。自分の言いたい事を表現するのは大変だ。だが、うっかりしてぼんやり表現してしまうと、全部同じものになってしまう。本が違うのに同じ書評というのは、最悪だ。だから、その本の特徴を一生懸命探して、その本にしかできなかったことはな…

桜色

いつか見た桜をまた見ることはない。毎年新しい桜を見る。ひとつも同じ桜はなかったが、桜の記憶はいつも似ている。こぼれそうな花弁と、視界いっぱいの桜色、その向こう側の空の色、微かに香る風の匂い、それと別れの記憶。そういうものでいっぱいだ。楽し…

つきもの、つぎのも、たまもの

さいきんナボコフかディフェンスのことしか考えてない。右欄に「押し付け本」コーナーを作ってディフェンスを入れる始末!もうだめだ!なんでこんなに取りつかれているのやら自分でもよくわからなくなってきました。次は同じくナボコフの『賜物』を読むつも…

ピーター・ビーグル『最後のユニコーン』

ブクログに登録しようと再読していたら、以前よりずっとすっきり理解できた。 以前: http://d.hatena.ne.jp/asukakyoko/20060429 このころはやっぱり<二階堂奥歯>にものすごく引きずられていて、物語を読むというよりも彼女を追体験するために読んでいた…

ディフェンスのこと

ディフェンス作者: ウラジーミル・ナボコフ,若島正出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2008/09/19メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 22回この商品を含むブログ (24件) を見るとにかくひとこと、おまいらこれを読めと、つべこべ言わずに読めと言いたく…

さくらさくら

ウラジミール・ナボコフ『ディフェンス』

緻密な描写と構成によって組み立てられた、精緻な構造物であり、同時に、美しいとさえ言えるほど勇敢で哀切な物語。 こんなに結末が来ないでほしいと願った小説はなかったし、最後の数章を読み進めるのは辛い作業だった。なぜなら著者は前書きでその結末をす…