ヂオゲネスの誘惑 / シユミツトボン著

鴎外の翻訳(そういえば、この巻で鴎外はドストエフスキーの「鰐」という短編も訳しているのですが、これは彼がロシア語に通じていたということなのか、ドイツ語か何かの翻訳をさらに訳したものなのか。)。世捨て人を誘惑して笑ってやろうとする女が、逆に魅せられてしまうという話。要するに新興宗教の教祖に入れ込んでしまう女の話なのです。男の言いぐさがすごくて、俺は夏ごとに別の女と仲良くなるが、その女のところにはいつも土産を残してくるのだ。男の子という土産をな!と始終こんな具合。いちおう彼は哲学者ということになっているのですが…てつがくしゃ?なの?とりあえず、酒を飲んで踊って騒ぐなら、歯の間からこぼれるようにして飲み、裸になって草原を駆け、裸の女を押し倒して明け方まで起きあがってはいけないのだそうで。けものと変わりなく生きることが彼の信条。
ご参考:ディオゲネス (犬儒学派) - Wikipedia