ギベール『犬たち』
延々と性行為の描写が続くサドマゾ小説でした。問題の「フーコーには気に入ってもらえなかった」発言ですが、邦訳のあとがきは訳者によるもので、そこへギベールのインタビューでの発言が引用されていたのでした。1991年7月18日、「ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール」誌の24号にて曰く、「ぼくの本のなかには、ミシェル・フーコーに認められていないものもありますよ。『犬たち』というサドマゾ小説は、彼に楽しんでもらおうとして書いたものですが、うまく行かなかったようです。ひとことの感想も言ってくれませんでね。この程度では、彼自身がもっているサドマゾ的なパワーにとてもおよばないと思ったんでしょう」(p.94)だそうです。
個人的に『眼球譚』と比較してみましたが、それとは違って、ぜんぜん象徴(この言葉を使うのは怖いですが)が出てこないお話しでした。どちらかというとAVに近くて、けどAVよりはちょっとファンタジー。ファンタジック・ポルノというジャンルがあれば、それです。最初はあんまり意外性がないなぁと思いつつ読み進めていたんですが、後半の展開が面白くて、こういう最後に巻き返すのがギベールの持ち味なのだろうかとも思います。
あー、でもやっぱり訳が気になる。今回は前のよりはしっくりきてたんですが、訳し方次第でもっと猥雑な印象になりそうな話です。
- 作者: エルヴェギベール,Herv´e Guibert,佐宗鈴夫
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1995/04
- メディア: 単行本
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