『minimum(日本語版)』
Jhon Powson(ジョン・ポーソン)編、安藤宗一郎・西森陸雄訳、DesignExchangeより2001年。¥3,800。
初版は1996年、大型の愛蔵版でベストセラーになったから、そちらを持っている方もいるかもしれない。
私は今回日本語版が安く出版されているのを知って購入した。
内容は、建築、芸術、デザインの作品を「シンプル」の観点から集めた写真集。ミニマリズムやシンプルがどんなものか、具体的にイメージしにくいという方に勧めたい。かく言う私も、建築においてミニマリズムがどういうものを指すのか、また一般的にどういうものがミニマリズムと呼ばれるのか、を具体的に知りたくて本書を購入した。
ざっと目次をあげてみる。
-
-
- -
-
22 Mass|塊
飾りのない壁の純粋な美
42 Light|光
影、うつろいの力
66 Structure|構造
数学の秩序
94 Ritual|精神
自発的な質素さとその恒常的存在
114 Landscape|ランドスケープ
人の手の跡
136 Order|秩序
可視化された理由
162 Containment|囲み
建築による空間の規定
192 Repetition|反復
単純さのエレメント
214 Volume|ヴォリューム
プロポーションを変える力
232 Essence|エッセンス
分解不能のミニマム
260 Expression|表現
言語のような沈黙
-
-
- -
-
冒頭にポーソンの文章が入り、巻末には図版の解説も付く。
知っている作家、建築家のものも多いが、それと同様に誰が建てたのか分からない建物や、風景、部分的な写真も多い。それは、おそらく編者が「ミニマリズム」の作品を取り上げるのではなく、いかに「シンプル」という概念を表しうるものを見せるか、ということに重点を置いたからだろう。結果、個々の作品の全体像に限定されず、目次にあるように「シンプル」を特徴づけるある概念のもとに写真が納められることになっている。
※3/4に数カ所改訂済。