『アーキグラム -ARCHIGRAM-』

1960年代にイギリスで生まれた雑誌の、日本語訳(浜田邦祐訳)。
鹿島出版会、3400円。

アーキグラムが実際にどんなことをやっていたのか、ということを知る為には、非常に有効な本。何故なら、この本は『アーキグラム』というタイトルで刊行された雑誌を一冊にまとめたものだからだ。


思想とか、言語とか、そういうのを全部抜きに考えても非常に面白くて、何がそんなに面白かったのかというと、それはやっぱりグラフィクスの勢いなんだろう。そのころ一番とんでもないことを、建築という良識ある分野に対して行う。何か跳んでもないことをやらかしてしまえ、という意識、勢い、若さ、そういうことが全部詰まっている、色濃いグラフィックを見ているだけでくらくらとする。カウンターを当てている、まさに純粋に。


今となっては古き良き、で済まされてしまうことも当時は相当アヴァンギャルドだったわけで、それを理解せずに読むと単純に「なんかカッコイイ」で終わってしまうだろう。彼らから学ぶのは、現された図面、それはまさしく図面だと思うのだけど、その図面に詰め込まれた情報とその情報を詰め込んだ情熱と、そしてその情報を如何に配置したか、如何に宣伝したか、その宣伝の方法が紙面のみであったということを含めて考える、感じる、ということなんだろうと思う。


感じるのはそのエネルギーだ。そして何か動きが始まるところには、確実にその無謀とも思える爆発的エネルギーが存在する、ということをアーキグラムは思い出させてくれる。