「Before Sunset(ビフォア・サンセット)」をみました。

中間報告というか。あとサンライズしか見ていない人にはネタバレに相当すると思いますのでよろしくお願いします。


サンライズ」撮影からリアルに9年後に撮ったという本作。面白かったです!
80分と、近年の映画にしては大変短く、そこも好感を持てました。


物語は二人がウィーンで分かれて9年後のパリ。イーサン・ホークは作家として講演に来ていて、ジュリー・デルピーがそこに現れ、二人はふたたび話し始めるという筋。
この最初の登場シーンから最初の会話に至るまでの緊張感がすばらしく、私たちは二人がその後どうなったのかに映画を見ながら思いを馳せることになります。
徐々に結論が明らかになるにつれ、感じるのは深い喪失感であり、おそらくそれは9年の間イーサン・ホークが感じ続け、再会の瞬間からデルピーが感じ始めたものに他なりません。
会話はとりとめもなく、二人の仕事や、家族、恋人やその後の恋愛について、延々と続いていきます。
私たち観客は、そして9年前のふたりは、一度は運命について信じたはずです。そして、それが描かれた映画として「サンライズ」を観ていたはずです。おそらく、サンセットは多くの人の期待と希望を裏切る内容ですし、それは描かれているふたりにとっても同じはずです。私たちはふたたび、現実世界で出会うような苦い裏切りと、喪失に出会い、人生への真剣さを失います。
ところが、そうした喪失感の中から、ふたりが作り上げる新たな会話と、新たな関係、そして、決してふたりはお互いにとって、無意味な存在ではなかったのだと確かめ合うすべての瞬間がパリの風景のなかでとても輝いていて、私はそれに心を動かされました。
つまりリンクレーター監督は現実を描きますが、その現実を美化することなく、希望へと書き換えることのできる稀有な才能だということです。
イーサン・ホークジュリー・デルピーの、時間を経たけれど同じ人物であることの解釈もとてもよかったと思います。


人生に夢を見ながら、冷めてしまった人に見てほしい映画です。私たちは繰り返すことができて、やり直すことができる。失敗は決定的ではなく、願い、行動し続けることで、なんらかの形で取り返すことができる。完璧ではなくても、もしかしたら、再会できなかったとしても、信じて、そのために行動し続けること自体が救いになるのかもしれないと、そういうことを感じます。