セデック・バレと、ショーン・オブ・ザ・デッド


なんだかんだで休めなかったので、ぽつぽつ見ていたやつを。



一言で言うと、だるい映画でした。映像は綺麗なので、綺麗な映像が見たい方は楽しめるかも。
太陽の裏に隠れていたメランコリアという太陽系最後の惑星が地球と衝突する直前の一ヶ月くらいの話。
ラース・フォン・トリアー監督でひとしきり話題になったので観ておいたほうがいいのかなあと思って借りましたが、そういうふうに選んだ映画はたいてい外れるものですよね…くそーわかっていたのにー。
描かれているのは物語ではなく感情で、しかも破滅に向かうだけの感情であり、最後をどう迎えるのかという態度の問題でもあり、さらにタイトルに示唆されるようにそこには常に憂鬱さしかありません。退廃とも異なる憂鬱、という感情がいかに非生産的であるか、いかに静止したものであり、どこへも向かわない行き止まりであるのか、はすごくよく描かれていたと思います。難しいのは、映画そのものが憂鬱であるということと、憂鬱を描くということとの差が、あまりなかったことでしょうか。憂鬱を面白く表現するにはどうしたらいいのか、考えさせられました。(ムリかもしれない)



台湾の原住民族の反乱を描いた一作。ふつうにエンターテイメントになっており楽しんで観られましたが、戦争映画を面白く観てしまう自分というのはなんなのかという気もして複雑な心境でした。
1930年日本の占領下にある台湾で起こった、霧社事件を題材にした映画。全編通して大量に人が殺されるなかなかにエグい映画でしたが、多くの場合に侵略されるほうに起こりがちな勝てる見込みのない戦いであるという点で、感情的に揺さぶられるものがありました。
私はこれをフィクションとしてみましたが、おそらくこれと同じようなことは多かれ少なかれあったんだろうと想像できます。私がもしあの警官だったら、彼らにどんな感情を持っただろうと思うと、ぞっとするところもあります。こういう映画が危険だなぁと思うのは、自分は決してそんなことはしない、と思ってしまいかねないところです。私は常に「悪い警官」だったかもしれないということを忘れないでいたいものです。




久しぶりにゾンビ映画が観たいなと思って。楽しんで観られました!
やる気のないダメ男がなぜかゾンビと戦う羽目になる映画です。いったいこの日常系ドラマのどこからゾンビ映画になるんだろうと観ていましたが、案外あっさりゾンビ映画になりました。個人的にゾンビ映画は恐ろしさよりは滑稽さや物悲しさを感じますが、この映画はまさにそのもの、滑稽さと物悲しさをストレートに描いており楽しめます。
特に、やはり身近な人間の死をじっくり悲しむ間もなくゾンビ化した相手を殺さねばならぬ、という状況は悲劇というよりは喜劇であり、本人は非常に悲しいしやりきれないのですが、やはり滑稽です。相棒の成れの果てが描かれるラストシーンも、そういう意味では滑稽さの延長なのですが、むしろ悲しいというのも皮肉なところ。いずれにせよ、死が肉体的な停止ではないということをこれほど鮮やかに描けるのはゾンビ映画ならではです。
完全なるフィクションがありがたいと思うのは、自分自身の置かれた境遇にコミットせずに見られるところですね。単なる現実逃避とも言いますが。いずれにしろ、面白かったです。