ミルクとモンスター

連休をDVD鑑賞に費やすあたり、出不精の本領発揮しています。


ミルク [DVD]

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『J.エドガー』と同じくダスティン・ランス・ブラックが脚本を書いている本作。エドガーよりは筋も主張もはっきりとしていてわかりやすく、面白かったです。後半の演説のシーンはとりわけ素晴らしく、また、マイノリティがどのようにして公的な立場に立つのか、その主張をマジョリティに対して要求として、正当なものとして提示するのか、そのやり方が本当らしく描かれていました。
40歳で証券マンのハーヴィ・ミルクは、スコットとの出会いをきっかけにNYからサンフランシスコへ移住します。街の一角でカメラ屋を始めたミルクは、隠れてやりすごすのをやめ、自分の店を公にゲイのたまり場とすることでやがてグループの中心的人物となっていきます。
当初、ゲイばかりを支持者としていた彼は、選挙のために他のマイノリティに協力を求めるのですがうまくいかず、最終的にレズビアンであるクロネンバーグを広報として陣営に迎えることでようやく当選を果たします。それまでに、彼は何度も落選し、それでも再度挑戦します。問題ではなく、生き方、生命の問題なのだという彼は、ですが最後には同僚によって撃たれて亡くなります。
数の有意とは何か、それはどういう正しさなのか、この映画を観ると考えずにはいられません。誰かを好きになるのに、正しさが必要でしょうか。女性が女性にあこがれたり、男性が男性を愛したり、あるいはその両方であることはそれほど異常でしょうか。それほど嫌悪すべきことでしょうか。異性同士であっても、告白したり肉体的な関係をもつことはものすごく大変なことだし、リスクが伴います。それがたまたま同性であったからといって、どんな特別なことがあるでしょうか。
私は自分の感覚で言えば、そこになんの差異も感じません。もちろんマイノリティである彼らに出会うことはまれですが、まれだからといって、それが悪いとか、嫌悪すべきものであるというのは誤っています。
私は、同性愛者にとってはマジョリティの側にいるでしょう。でも、マジョリティと言われるものの中に、差異はないのでしょうか。私たちは「同じ」であることをどう担保しているのでしょうか。そのことに自覚的ではないのに、誰かを、ある特徴で差別することは、私には許せませんし、私はしたくありません。違うことに気づき、違いを受け入れたいといつも思っています。できる限り。気づく限り。
そんなことをじっと考えてしまう映画でした。おススメです。


モンスターズ・インク [DVD]

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ユニバーシティのほうを見たので、気になって借りてきてしまいました。以前に見ていたはずなんですが、けっこう忘れているところもあり。とても面白かったです!純粋に楽しめる映画でした。やっぱりディズニー(というかピクサー)ははずさないですね。
とてもいいなと思ったのは、悲鳴ではなく笑い声をエネルギーにしていくところ。誰かを怖がらせるよりも、誰かを笑わせてあげるほうが、楽しいし、エネルギーもわくよねって映画に言われた気がしました。明日から楽しく仕事ができそうです。文句なくおススメ!