ひとりぼっちのふたりについて。

もっぱら「kino」カテゴリしか使わなくなってしまったasukakyokoです。


『パシフィックリム』の影になっていてまったく関心がなかった本作ですが、予想を裏切る面白さ。一言で言うと、西部劇風冒険活劇とでもいえるでしょうか。私個人は西部劇はまったく関心がなく、過去の作品も、元ネタ自体も知らないという有様ですが、大変面白く見られました。
大陸横断鉄道ができつつある頃、原住民との折り合いがつかず強引に事業を推し進めようとする鉄道業者を、原住民の生き残りと、無法者に兄を殺されたレンジャーの生き残りがこらしめる、という勧善懲悪系の筋。ジョニー・デップ演ずる愛嬌のあるトントが語り部となり、事件の全容が展開されていきます。が、話はいったりきたり、真偽も定かではなく、そのうえ凶暴なウサギや謎の能力をもつ白馬などが登場し若干ファンタジーめいた展開が混じってくるせいで、ストーリーは混沌としていきます。クライマックスである二両の列車でのアクションシーンなどは完全なるスラップスティック・コメディ。いやほんとうに楽しいシーンでした。
主演のジョニー・デップもそうですが、助演のアーミー・ハマーがとてもよかったですねというか割と好みの俳優さんではないかと個人的に思いました。癖のある顔立ちですが、どんなひどいシーンをやっても「きちんと感」がでるのが面白い。あと彼は声がいいですね。
前回の『モンスターズ・ユニバーシティ』といい、ディズニーは案外はずさないというか、きっちりエンターテイメントに収めてくるところが素敵です。とても楽しんで観られました。



J・エドガー Blu-ray & DVDセット(初回限定生産)

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これもそれほど期待していませんでしたが、きちんと作られた映画でした。決して愉快な人間の話ではないので好みはあるかもしれないですが、私は面白く見ました。
実在のFBI長官J.エドガー・フーバーを描いた本作ですが、冷酷なエドガーの描き方、強い信念と能力ゆえに暴力的に無神経な人間であるということや、裏腹に臆病で常に怯えている人間であるということはうまく描かれていたのでは、と思います。ミス・ガンディと、クライドとの距離感も下品になりすぎていなくてよかったですし。人間としての付き合いと、仕事上の関係がうまく取れない、本当に不器用な人間だったんだなという印象を受けましたし、そのあたりの描き方のバランスがよく、納得できるエドガー像になっていたと感じます。
ただ個人的に、終始出演者の「加齢処理」が気になって気になって。
語り手であるエドガー自身の現在から過去を振り返りながら物語が展開していきますが、ここで現在のエドガーを若い頃のエドガーと同じディカプリオが演じています。いや別にそこは違う俳優使ってもよかっただろうと私などは思ってしまうんですけども、そこをけっこうがんばっておじいちゃんの姿に修正しています。もうここが気になって。話の筋とか以上に。話の筋に難がなかったからむしろ気になったのかもしれませんが。
ディカプリオ以上にハマーさんのほうが盛ってる感じが強く、最後のプルプル状態のあたりで私は感銘を受けながらもこれハマーさんがおじいちゃんを演じているのかと思ったら面白くて仕方なくなってしまい。あまり集中できませんでした。
ともあれ、偶然ですがハマーさんの別の役が見られて楽しかったですね。ハマーさんのきちんと感がよく出ていた役柄だったと思います。