サイトロにデルトロ
こんばんは。なんか韻を踏んだ感じの今週の映画2本です。
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何よりも、主演のホアキン・フェニックスが本当に素晴らしかった。冒頭の、視線だけで何かを思い出していることがわかっていくシーンがもうすでにすごい。以降ずっと続く、何かをこらえ続けているような複雑な表情や、あきらめ切った人間の出すネガティブな雰囲気など、空気と言うしかない微妙なテンションを見事に演じ切っていました。
サイエントロジーを髣髴とさせるという教祖のフィリップ・シーモア・ホフマンも素晴らしかったです。彼の、妙に浮かれたような、不安な明るさは、頼りがいがあると感じるときもあれば、ただの馬鹿なんではないかと感じるときもあり、そういう思想家の詐欺師のような側面がとてもよく表現されていました。
人間って、たぶん簡単には解決できないものをいろいろ抱えていると思うんです。解決できた!って思っても、なんかへんなところでそれがひょっこりとまた顔を出したりして、一筋縄ではいかない。そういうこんがらがった人間の有様が、本当に上手に描かれていて、観ていて苦しくなるほど誠実な映画だったと思います。
それにしても、ポール・トーマス・アンダーソンてこんなにいい映画を撮る監督だったかしらと、なんだか不思議な気持ちになりました。マグノリア以降はだいたい観ていると思うんですが、今回のは一番よかったなぁ。間違いなく近年見た映画の中で3本の指に入りますね!(アメコミ映画しか観ていないのにあれなんですけど)
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実は先述の「the Master」から立て続けに観たんですが、フランス料理の後に濃い味の焼きそばを食べたような、繊細な感動がすべてソース味で塗り替えられるといった感じでした。別においしいんだけど、複雑なところとかなくてめちゃ明解だよね、っていう。カンタンに言うとB級アメコミ映画。
なんかもう、アクションシーンが全部かっこよくないのはアクション映画としてどうか。ウェズリー・スナイプスのことをもうちょっとかっこよく撮ってあげて…と何度思ったか。
内容としてはざっくり言うとヴァンパイアとゾンビの戦いなんですけど、弱点が紫外線なので、攻撃シーンとかもイマイチ迫力がない。銃でバンバンと撃って光でピカーってやるとうぉおおみたいなシーンばかりなので、戦ってるヒーローの強さが実はあんまり関係ない。かといってじゃあ頭を使って敵を倒そうとしているかと言うとそういう感じでもない。結局最終的にはこういう映画の王道である肉弾戦になるんですが、どっちも無敵感が強すぎてこの戦いってどうやって決着つけるんだろう、という…。
なんだろう、感覚としては、舘ひろしがグラサンつけて日本刀でヴァンパイアを殺す映画だと思っていただければ。