バットマンは滅びぬ、何度でも蘇るのだ!

もはや勢いでしかない。ノーラン版新バットマン三部作の三本目を見ました。

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うーん、とにかく長い。この一言です。
前半部、証券所襲撃シーンくらいまでの展開は悪くなかったと思うのですが、その後無理やり終結させようとしており、後半部って必要だったの、というか後半部の展開のぐだぐだ感がすごい。
役者個々の演技はたいへんよかったと思いますし、個人的にはアン・ハサウェイとジョゼフ・ゴードン・レヴィットが見られたのが大変よかったです。


影の同盟の再来というところで、三部作のラストとしては納得できるテーマですし、そこにラーズ・アル・グールの子が関わるというのもまあわかる話ではあります。
ただ、さらにクリスチャン・ベール演ずるブルースの成長が重なり、バットマン継承の儀まで付け足されているだけでも複雑になりそうなものなに、そこへもってきて犯人探し的トリックまで入れ込まれて、おい盛りだくさんにもほどがあるだろうと。


これで綺麗に展開して綺麗に終わってくれると「おーさすがやね」という気分にもなるのですが。


映画としては興行的に成功したということですし、世界のバットマンファンとしては文句のないところなのかもしれません。
というわけで以下は私のごく個人的なメモということでご理解いただければと思います。



そもそも悪役は二人必要だったんですか?
ベインだけでよかったのではありませんか?
だいたい爆弾をその場で爆破すればことは済んだのではありませんか?
それに悪役が二人ともあっさり死にすぎではありませんか?


用は、バットマンが弱くなりすぎ→バットマンを強くしなくては→試練与える→シティのほうの展開が間延び→間延びの理由が必要→悪役の複雑化→展開の複雑化
で伸びに伸びた中間の始末を最後のあたりできゅっとつけようとするから尻切れトンボ感が否めない。
確かに、隠居して弱くなりすぎたバットマンイカに強くするかというのはなかなか難しいところですが、経済封鎖という複雑なところをなくしてこれまでどおりバットマンの弱さは財力と科学力でカバー、犯人側はとにかく爆発させるぜ!という展開でよかったんじゃないかなーと思う次第。


そもそもマリオンさんに対するガードが全員甘すぎるだろうと。どうしていきなりそんなに信用を勝ち取っているのかと。この不信感のせいで最後にマリオンさんがバットマンの背後を襲うシーンでも「ふーむやっぱりか」という感じ。だいたい刺されたほうも割りと元気だし…。
マリオンさんとクリスチャンさんの雨のシーンもいまいち唐突ですし、なんかやっぱりマリオンさん演ずるテイトという役柄がしっくりこない。


対してキャットウーマンことアン・ハサウェイさんのコミカルさはとても映画に合っていたと思いますし、今回見ていて唯一軽快なキャラクターだったなーと。


そうそう、これまで活躍してきた人がことごとく貶められ、まったく活躍できないというところがとても重要なのでしょうけれど、その割りにゴードンさんが意外と活躍しており、結局毎回街を救っているのは実はゴードンなのではないかと。


いや、でも何がダメと言うことができないのだけれど、全体としてすっきりしない、何かがひっかかるというのが一番よくないというか。ひとつひとつの要素は納得できるし、面白いと思うのだけど、それをうまくひとつにまとめられなかったんじゃないか、というのが私が一番がっかりした点だといえるかもしれません。


とはいえ、私が言うあれもこれも、すべて作品を作り上げる人々の情熱なくしてはありえなかったもの。作品を完結させたスタッフと出演者のみなさんには心から拍手を送りたいと思います。