new school と old school

ダンス動画をみていると、ちょくちょく「ニュースクール」「オールドスクール」って言葉が出てくるのですが、知ってるようでよく知らない言葉なので調べてみることにしました。


おおざっぱには、その名の通り、ヒップホップ黎明期〜90年代くらいまでの古いスタイルをold school、以降のより自由度の高い新しいスタイルをnew schoolと呼ぶようです。
ヒップホップ - Wikipedia


ただこれだとわかるようでわからんな〜という感じ。ひとまずダンスのスタイルを指す言葉にしぼって検索してみたら、こんなサイトがでました。
ƒXƒgƒŠ[ƒgƒ_ƒ“ƒX‚ÌŽí—Þ mFREE STYLE DANCING n


このサイトに準拠すると:
old school→ popping, locking, breaking: 型や技が決まっており、リズムを重んじる。
new school→ house, hip-hop: old schoolの技などは継承しつつ、リズムと同時に体の動きの流れを重んじ、より自由度が高い。


どんな踊り方かということについては上記サイトの動画をご覧いただくことにして。
これを見てると、結局ダンスでいうnew とoldの違いは、ヒップホップ音楽の変遷に伴ってるのかなという印象です。当初、音楽がオールドスクールのときのダンスはキメ技的なものがはっきりしていて、これができたら君もロッキンの人だね!などとわかる。ラップも、リズム重視です。その後にヒップホップの音楽そのものが変わっていって、ラップもメッセージ性の強いものになっていくのと同時に、ダンスもより自由度の高い、展開の入り組んだものが登場したからのかしらと。*1


というわけで、今度は音楽のほうのnew school と old schoolとを見てみます。
ヒップホップ音楽の歴史 - Wikipedia


文字だとピンとこないので、動画も探してみる。
Kool Herc

Raper's delight (Sugarhill Gang)


おおおなんか懐かしい感じになってきました。ここから歴史的にはディスコ時代到来です。
このあと、ゴールデンエイジ・ヒップホップになるというわけですが、よさげな再生リストがあったのでこれを貼っておきます。
http://www.youtube.com/playlist?list=PL5CE24CB4E056F1AB


パブリック・エネミーとかいたよね!など個人的に新鮮な発見があり楽しかったです。このリスト、後半はゴールデンエイジの後のギャングスタ・ラップに以降していきます。こうギャングスタというと必ず銃声や自動車のクラッシュ音が入るというイメージを持っているのですが、このあたりが最初らしい。
N.W.A- Straight Outta Compton


これが1988年。このあと、Dr. Dre とか2PacとかNotorious B.I.G.とかが出てくるわけで、このあたりになってくるとようやく私にもわかる名前が出てきます。
Dr. Dre - The Chronic - Fuck Wit' Dre Day

2pac-Tupac When We Ride

これきくと、こっからエミネムは出て来たんだねーって思う。


このあたりまではぎりぎりオールドスクールなのかな、という感じ。Dr.Dre2Pacは西海岸ですが、東海岸ではもっと悪そうな感じの音楽が同じころにできあがっています。
EPMD - Strictly Business

Biggie - Ready to Die


やばいビギーかっこいい…!
いつの間にか、ニュースクールオールドスクールの語義をめぐる話から、ヒップホップ音楽の変遷を辿る旅になっていますが、ひとまずギャングスタあたりからはもうニュースクールになってきてると考えていいのではないかと。同時期にハウスも生まれてますし。


そんでもって、ギャングスタっぽいながれを引き継いだひとや
Big pun ft Cuban link - Toe to toe

売れたひとやら
Kanye West - Stronger


…とここまで書いて気づきましたが、最近のラップってこの雰囲気なのかな、とするとまたちょっとリズム重視に戻ってきてるのかな、と。
Three 6 Mafia feat. Tiësto - Feel It

Mike Jones Still Tippin


おまけの西海岸ハウスなど。


というわけで、大変長くなりましたが、old school と new schoolというのは、型がまずできて、その発展と崩しという流れで理解できそうです。
調べていて思い出したのは、陶磁器の文様の発展です。以前韓国に行った時に、陶磁器を大量に見たのですが、最初は素朴な幾何学模様のようなものだったのが、ある時期急激に精緻に華やかになって技巧の最高潮を極めるんですよね。あれは本当にすごいなと思いました。そしてその後は、技術的な高度さを極めるのではなく、むしろ型を崩していく時期に入って、意外性や、引用、子供の落書きみたいなものまでいろいろなバリエーションが生まれます。そうして、陶磁器の文様の一つ流れが終わるという。


とか書いてたらこんな比較動画を見つけましたので最後に置いておきます。
New School vs Old School


さて、寄り道しすぎて具体的にこの踊りが!とかこの音が!っていうところまでは今回は辿りつけませんでした。また次回があれば、そのときにこう具体的なダンスなども調べていこうかと思いますよ。ただ思うのは、ダンスの本質が身体表現である限り、型や振り以上に、身体的なアピールの強い奴がかっこいいというのは避けて通れない。さらに言えば、まったく同じ振り付けのはずなのに、まったく違うように見えるダンサーというのはときどきいて、そういうダンサーはカウントを更に細かく割ったリズムを感じているように見えます。で、こういうダンサーからそれまでの型からはみでる新しい動きが生まれていくのかな〜なんてことを考えていたりします。そう、お察しの通り三浦大知はそのたぐいのダンサーだと考えておりますよ。ふふふ。
あとは、殺し合いをしない代わりのガチンコ勝負だったヒップホップが日本に入って全方位他者へのメッセージに変遷して、結局アイドル的なものに落ち着くというこのあたり今後検証していきたい。

*1:三浦大知のダンスはいわゆるニュースクールなのかねぇ、という気がします。本人はマイケル・ジャクソンのファンだと公言しているし、ジャズとかファンクっぽいものも入ってそう。