喉元を剃刀で切られるような

床屋で安心して髭をあたってもらっているけど、その床屋がいつ自分の喉を切るかわからない。私たちは安全だと思っているだけで、本当はとても危険な状態に日々晒されている。
喉元を剃刀で切るという行為は、床屋という商売にとって理不尽な選択だし、そんな床屋はすぐに流行らなくなるし、第一殺人で監獄行きだ。だけど、床屋がその気になれば、簡単な行為でもある。問題は、その気になるかならないか。
09.11.2001にアメリカで起こったのは、そういうことだと思う。


その日、バイトから帰ってテレビをつけた。ビルが映っていた。煙が出て、アナウンサーが繰り返し、状況を説明していた。その最中に、もう一機飛行機が突っ込んできた。画面の右側からやってきた飛行機は、左側でオレンジ色の爆発に変わった。
「起こらないだろう」は「起こるかもしれない」に変わった。そういうことだと思う。