文体の快楽

こういう文体って、書いてると気持ちいい。でもこの快楽は、(上述した宛先の匿名性と対比するなら)むしろ書き手の匿名性によって保たれている。筆者としての自我が理性的かつ整合的に保たれているということを前提にして行われるある種の主張というのは、自我をそんなふうに理想的なものへ仕立てあげて卑しい自己を隠ぺいしてしまっているという事実のせいで、他のどんな自我の装いよりも、ずっと自意識過剰であるように、ときどき見えるんだ。