スーザン・ソンタグ『反解釈』

反解釈 (ちくま学芸文庫)

反解釈 (ちくま学芸文庫)

ヴェーユの生涯を愛するひとでも、こういう生涯を自分のこどもに望もうとしたり、あるいは自分の愛しているいかなる者にも望もうとするひとはいまい。だが生存はもとよりのこと、真摯さをわれわれが愛するかぎり、われわれはこのような生涯によって心を動かされ、心を養われるのだ。このような生涯に対して尊敬を払うことによって、われわれはこの世における秘蹟の現前を認める──そして秘蹟とは真理の頑固な把持、客観的真理の頑固な把持が否定するところのものである。この意味で、すべての真理と言われるものは底の浅いものであって、若干の(すべてではない)真理の歪曲、若干の(すべてではない)狂気、若干の(すべてではない)不健康、若干の(すべてではない)生の否定は、かえって真理をあたえるものであり、正気を産み出すものであり、健康をつくるものであり、生命を増強するものなのだ。
シモーヌ・ヴェーユ」より、pp.91-2


バランスのとれたひとなんではないかと思いました。本はまだ途中。