某くん

職場の某くん*1が興味深い。彼はどうやら、私が何気なく言った「君より私のほうが力ありそう」という一言を気に病んでいて、ある日「僕、いまジムに通ってるんです」と言い出した。わー、ちょっと、なにやってるの!私は内心すごく焦った。そんな、私自身はすっかり忘れていたような一言で、彼が一念発起するなんて思わなかったのだ。パニックに陥る私を置き去りにするようにして、彼が「夏を楽しみにしていてください!」と言い切ったのが三ヶ月前だった。
もともと生真面目で頭でっかちになりがちな某くんのことだ、その間きっと黙々とジムに通い続けたのであろう。そうして、ついに本日、彼は私の目の前で「見て下さい!」と腕に力こぶを作ってみせたのだ。なかなか立派な力こぶだった。さらに続けざまに「次は腹筋を割って見せます!」と力強く宣言した。誇らしげな某くんの顔を見ながら私は、腹筋かー、腹筋はちょっと、見せられても困るなーと思った。さらにその横で彼の同級生が「僕のお腹は横に割れています!」と叫んだときに、私はそのお腹だけはみたくないと思った。某くんがどこへ着地しようとしているのか、今回の件の発端を担う者として、見届けたいと思う次第だ。

*1:もちろん仮名