にんじんケーキ
明日はおやすみなので、ひさしぶりににんじんケーキを焼いた。バターと砂糖を2/3にして。罪悪感も2/3である。それで焼き始めたはいいものの、予定時間になってもさっぱりできあがらない。どうやら設定温度を間違えた。仕方ないので途中で温度をあげてやり直したら、やはりできあがりはぺっちゃんこでべたべたになってしまった。でも食べた。食べたら意外と悪くなかったので、まあ、いいか、と思う。
ケーキを焼いていると、いろいろなことを考える。片づけや準備に時間がかかるせいだ。そうして、こういう余計な時間をここ数週間は割いていなかったのかということを思った。何もしない時間。何かをするために、何もしない時間というものもあるのかと思う。無為な時間は、充満した時間の中にあるからこそ価値をもつ。
今年に入ってから、私の時間はこれまでなかったくらい速く過ぎていて、だからときどきこういう時間にはまるとそのゆっくりさにつまづいてしまいそうになる。それでようやく、ああそうか、こんなに速くなってたんだなぁと思う。動く歩道の上を歩いていていきなりフロアにでるとおっとなる感じ。
速いと言えば、先日両親と一年ぶりに会ったら、おまえ老けたなぁと言われた。これにはショックを禁じ得ない。そっちこそ!と言いそうになったが、まあ両親はもうそろそろ中年から老年なので、あまり意外性がない。それ以来、鏡をみるたびに自分の外見年齢がどれくらいか考えている。まあまあ、年相応なので、いいことにした。考え方が変わると、見た目まで変わるのかもしれないと思う。鏡の中の私は、なにかを諦めたような表情をしていた。いいことなのか、わるいことなのか、それについてはよくわからない。