ギベール『ぼくの命を救ってくれなかった友へ』

最北の哲学徒ブログで取り上げられていて、フーコーとの交友録にもなっているとの紹介に読んでみたくなり、このたび三分の一ほど読んだところです。
フーコーの私生活なんてほとんど知りませんが、いきなり「知ってる」以上の話が読めてしまって面くらいました。部屋からSM道具が出てきたくだりに至っては、HGが頭にどかーんと浮かんでしまい、しかしそもそも本家はこちらだろうと考え直したりして少し混乱しました。
ギベールには『犬たち』というサドマゾ著作もあり、これから読んでみたいのですが、フーコーへ向けて書いたのに、フーコーにはあんまり気に入ってもらえなかった、おそらく彼のサドマゾを満足させることができなかったのだろう、うんぬんと後書きで書いてるようです。
フーコーは死後の刊行を一切禁じているそうですが、死後一切の刊行を禁じる書き手はけっこう多いです。フーコーくらい有名になってしまうと、生前から「フーコー」が一人歩きしてしまっていたはずですから、そう決めたくなるのも無理はないのかもしれません。とはいえ、私には残せるものなどなさそうなので、そんな気持ちはまったくわからないわけですが。
それにしても、この翻訳はどうなんでしょうか。息苦しい、痛々しい感じはわかるのですが、うーん。私にフランス語を操れる能力があればいいのですが、初級で止まっている身では、なかなか原書を読もうという気概が生まれません。ドイツ語の方がまだもう少しましです。とはいえ、何か短いものを、辞書をひきひき読んでみたい気もします。ってそんな時間ない。
そうそう、あと「ぼくの命を救ってくれなかった友」とは先に死んでしまったフーコーのことだと思っていたのですが、どうやらエイズの治療薬をくれなかったビルという製薬研究所所長のことのようです。勝手に盛り上がっていた感傷がふっとんだ。

ぼくの命を救ってくれなかった友へ (集英社文庫)

ぼくの命を救ってくれなかった友へ (集英社文庫)