アイアンマンからアベンジャーズへ

というわけで、いまさらながら映画『アベンジャーズ』へ至る一連の流れをたどったわけです。
きっかけは夫氏のささいな一言で、「僕たちはいま、アメコミ映画を振り返るべきだ」と宣言したばかりにこういうことになりました。


まあ私は誰にはばかることのないロバート・ダウニー・Jr.好きですし、一番売れていたらしい(=ハズレなさそうな)『アイアンマン』から見ることにしました。
あと例によってネタばれなどは一切気にしない主義ですのでネタばれ気にする派の方は読まない方がいいかもしれません。


これがよくできた映画でして、死神も真っ青の死の商人がテロリストに捕まって、自分の武器で脅されたり殺されかけたり殺しあったりしているのを見ているうちに改心し、直接人助けをするにはどうしたらいいか考えた挙句スーパーヒーローを志すという、心根がまっすぐというか、ただの目立ちたがりというか、ともあれ自己実現と自己満足の究極の形としてアイアンマンになってしまうという流れ。
この映画の特徴は、とにかく悲しさが一切ないというか、人が死んだりしているにも関わらず主人公には葛藤や悲哀が一切ないところ。こうと決めたらこう。完全な、天上天下唯我独尊型人間であるロバート・ダウニー・Jr氏が嫌いなやつを滅多打ちにするという、なんというかさっぱりとした映画です。

とはいえもう少し面白いところもあって、これはアベンジャーズに繋がる流れのひとつですが、過去からの繰り返しと継承というテーマも。現在は可能ではないことがきっと未来には可能になるに違いないという一種の楽観的な未来像とともに、テクノロジーの進化を視覚的に描ききって見せるところがアイアンマンの真価なのではないかとも思ったりしました。
いやようするに今のCG技術ってすごいねーという話でしかないのかもしれません。


で、その流れで『アイアンマン2』も見たわけですが、こちらはまあ面白くはあったのですが、前作ほどの完成度はなかったかなぁ、という印象です。敵を作るのって難しいですね。
アベンジャーズつながりでいくと、復讐というテーマや、ロマノフさんの登場など、重要な場面は多くあるのですが。

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次はなんとなく厳しそうな予感がした『キャプテン・アメリカ』にしてみました。

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アイアンマンよりはちょっと、話の流れに難がある感じが…そもそもヒーローなのに部下を犠牲にするとはどういうことかと…。でも善良な心ゆえ、猛進(/妄信)する危うさも秘めつつ、アメリカの象徴を胸に抱き戦うキャプテンはやっぱりかっこよかったですね。
というか、アイアンマンからすると”生身”感がすごく、これでいったいどうやってヒーローとしてやっていくのだろうという不安も感じた一作でした。やはりメディアと抱き合わせないとヒーロー稼業は難しそうです。


ここでだいぶエンジンがかかってきたので、結局残りの3作も一気に見るかということになり、次に選んだのは、今回もっとも内容が懸念された『マイティ・ソー』です。

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なんというか、全体的にパッケージから漂う雰囲気からしてもうぜんぜんダメ、ハンマー一本で戦うハナシなんてまったく受け付けないという感じだったんですが、すみません。普通に面白いアクション映画でした。
いうなれば、科学による現象の探求と、神話の別世界感を、「宇宙」で繋げた良作です。
また女子があこがれる「超すごい人との恋愛」もばっちり描かれており、ナタリー・ポートマンの美少女ぶりがこれに説得力を与えておりました。ポートマンさんは本当にいやみなくらい美人ですね。
北欧神話のそこはかとない悲しさも感じつつ、シールドやロキくんという復讐のタネをまいてアベンジャーズへの伏線もばっちりです。


というわけで、地味っぽいと思われた『ハルク』でしめ。


これもまた、いい意味で裏切られる良作でした。
エドワード・ノートンさんの小市民っぽさがいかんなく発揮され、変身後とのギャップをしゃきっと演出できていました。
ただこれまでの3作に比べるとおちゃらけ要素が少なく、兵器利用されないためにひたすら身を隠し続けるという設定からして非常に悲しく地味な映画となっています。
夫氏の指摘ですが、むしろこれはゴジラのような災害系モンスター映画に連なる作品なのかもしれません。主人公はヒーローというよりは災厄のようなもので、そのパワーがよいものとなるか悪いものとなるかは使用する側次第という。


で、ようやく『アベンジャーズ』です。

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一言で言えば、よく作りましたね!というか大変面白かったです。
何が面白かったかというと、まぁ黄金パターンの展開もさりながら、個人的にはあれだけばらばらだったキャラクターたちにどうにか説得力を持たせて、うまく対立や協力を描いたなぁというところが。
キャプテンとスタークの対立も、国家と私企業との対立に読めますし、それを一致させるのはさらに強大な敵ということで、宇宙人の存在にも説得力があります。
宇宙人の中でも手伝ってくれるやつがいるのはなぜかというのは前作で描かれていますので、そこはこの映画だけ見た人にとってはちょっとわかりにくいところかもしれません。


ともあれ、自分たちの力を超える強大なものに、知恵と勇気と力で立ち向かうのがヒーローであり、それを単体ではなくチームとして成立させたところが、現代のヒーローものとして『アベンジャーズ』が面白いところだな、と感じました。


まぁいろいろ小理屈をこねましたが、どの映画も普通に面白い映画でしたので、ぜひ、一週間ほどアベンジャーズ週間を作って全部見てみるのをお勧めします。


ひさびさの投稿なのに相変わらず長いですね!
それではまたごきげんよう