セリーヌとジュリーは舟でゆく

セリーヌとジュリーは舟でゆく [DVD]

セリーヌとジュリーは舟でゆく [DVD]

ジャック・リヴェット監督。いつぞや「美しきセルジュ」のB面に収録されていた「王手飛車取り」のひとです。
面白かったです!これはいい映画。ただ長い。三時間くらいあった…長すぎる…。こう、アリスみたいに始まって、途中で推理劇が挟まって、それでアリスに戻るという。
いいなぁと感じたのは、特にすべて種明かしをせずに話を進めていくところで、これがハリウッド映画になるとはりまくった伏線は全部回収!とりあえずどこかで説明!みたいになってしまうのでしょうけれど(ハリウッド映画に対する偏見)、それってスッキリはするけど、余韻が残らない。のどごしだけのビールみたい。うまい!けどなんだろうこの後味は…みたいな不思議なしこりが残るところがよかったです。
あとは女優さんがとってもかわいいですね!セリーヌ役のジュリエット・ベルトーはこれぞフランス女優、という雰囲気のある、垂れ目でほそっこいひと。対するジュリーは赤毛でそばかす。でもスタイルはなかなかよしという、ドミニク・ラブリエ。同じ役柄を二人が演ずるしかけ(いわゆるダブルキャスト)は、それぞれの持ち味がよくでていました。
エンドレス、というテーマは物語にとって重要なものなのかもしれません。物語というのが繰り返され、語り続けられることによって持続し、また読まれることによって実現するものだから。けれど語りは少しずつ変容し、その変容した語り口のほころびから、新しい展開が生まれる。新しい人物が登場したり、誰かの運命が変わったりする。読み手の自由な解釈を、セリーヌとジュリーがとても気持ちよく体現してくれていて、この映画の爽快感はそんなところからも生まれているのかもしれないと思いました。