菜の花と芋のはなし

夕食の支度をしているときに、身近な人が「菜の花と芋を茹でる順序について、百けん先生風にこじつけよ」と言うので大変困った。百けん先生風にこじつけるとなると、理屈が通り過ぎていてもよくない。かといって、偶然でもいけない。毅然とした(しかし独善的な)ルールがそもそも存在せねばならない。往生した私はまず「菜の花を最初に冷蔵庫から取りだしたので、菜の花から茹でます」と答えたのだが、これはよくなかったようだ。「もっと理屈をこねなさい」という。そこで、「芋の皮を剥いている間に菜の花を茹でておけば時間の無駄がないから、菜の花から茹でます」と答えたら、今度は「理屈がしっかりしすぎている」という。どうしろと。
そこで考えてみたのだが、恐らく百けん先生ふうだとこんな風になる:
菜の花というのは菜っ葉である。菜っ葉というのは、土に生えているからこそあの姿でいられるのであって、一端根が離れてしまえばあとは萎れるほかない。いまこうして我々が迷っている間にも萎れているに違いない。それに対して芋というのは土中からあの姿であり、掘り出したところですぐどうこうするわけでもない。菜の花を茹でている間くらい放っておいても影響はあるまい。だから、菜の花を先に茹でることにした。
この回答の如何については読者諸兄のご判断にお任せする次第である。