夢日記:死神

死神がやってくる。少し前の日本、たぶん大正〜昭和初期、の雑誌社。大物政治家への独占インタビューを取り付けた気鋭の記者は、明日のインタビューの準備に余念がなかった。仲間は彼の仕事を応援しつつ、忙しく働いている。そこへ、一人の記者仲間が駆け込んでくる。
「大変だ、死神が降りてくる」
爆笑する雑誌社の面々だったが、それは嘘ではなかった。死神は黒い服を着て、種の入った袋をぶらさげている。そして彼の指は、明日インタビューへいく記者を指した。
「明日種をまく。その種が花を付けたら、お前は死ぬ」
ショックを受けた記者は、ふさぎ込んでしまった。仲間はなんとか死亡宣告を取り消してもらおうと死神に掛け合ったが、聞き入れない。しかし
「こうして宣告しにきたのは、未練を残さぬためだ。何か死後に残してしまいそうなら、今からそれを絶つよう努力せよ。そんなものがあるとしてだが。もしあるのなら、種をまくのを一日待ってやってもいいだろう」
と言う。仲間が重い気持ちでそのことを記者に告げると、彼は、最後のインタビューを成功させることを決意するのだった。
「僕は明日死ぬ。明日死ぬが、仕事は残して死ぬ」
そこで目が覚める。