六万回

このサイトを始めまして本日で66666回もの閲覧をいただきました。誰かが66666回目の閲覧者であり、それは誰かはわかりませんが、ともかくその方が66666回目の閲覧者であることに変わりはありません。あるいはそれが巡回ロボットであるとしても、です。そして66666回のうちのおよそ2万回は自分で閲覧しているのかもしれないとしてもです。ちなみに66666回目の閲覧者は私ではありません。いずれにせよ、私はこれまでご覧くださったすべての方に感謝します。私が記事を書くことの動機付けは、すべて閲覧者の方々によって与えられました。そしてこれからも与えられることでしょう。
世界と結婚したいと言った女性がいました。しかし私はむしろ、世界から自分を引きはがしたいと思っています。世界の中に埋めこまれて世界とべったり繋がっている私というものを、私という仕方以外で見てみたいのです。私がここで書き続けるということはそういうことかもしれませんし、まったくそうではないかもしれません。それは私にもわかりません。
私は今日、風邪をひきました。昨日でも、一昨日でもなく、今日です。正確には、午前10時半頃。ですから私は一日中横になっていました。横になっていると、おかしな夢ばかりみます。午後三時に目が覚める前に見た夢は、一際予兆に満ちていました。それは何の予兆でもないかもしれませんが、とにかく予兆「的」でした。私はほの暗い空を飛んでいました。おそらく夜明け前だったのでしょう。遙か向こう側にオレンジ色の光が見えました。私はその光に向かって飛んでいきました。夜明けの太陽だと思った光は、しかし落下してきた巨大な隕石でした。隕石はあまりに巨大だったので、遠くから見ると太陽と変わりなく見えたのです。隕石はとてもゆっくり落下していましたから、私は隕石が地上と激突する瞬間をじっくりと見ることができました。高層ビルが隕石の周囲の熱で燃え上がり、海の水が蒸発し、まるでスペースシャトルが発射するときのようでした。そう思うと、隕石をかすめるようにして、スペースシャトルが飛んでいきます。後で気がついたのですが、そのスペースシャトルには、政府の要人が乗っていたのでしょう。いよいよ隕石が地表に到達するという段になって私は突然恐ろしくなり、急いで回れ右をすると一目散に逃げ出しました。どこへというわけではなく、とにかく、隕石から一刻も早く遠ざからなくてはならなかったのです。私は一生懸命に空を飛んで逃げました。随分遠くに飛んで、隕石はまた一時的に夜明け前の太陽のようになりましたが、それはやはり一時的なことでしかなく、やがて真っ黒な津波と真っ赤で凶暴な光がやってきました。そこで、私は唐突に、この地球上にいる限り、あの隕石の衝突から逃れる術がないということに気がつきます。隕石の衝突はあまりに巨大で、あまりに膨大でしたから、その影響は地球上をくまなく覆って生物をことごとく焼き殺してしまうでしょう。逃げても、逃げなくても、どっちみち私は死ぬのです。そう考えると、何だか諦めがついたようで、非常に穏やかな気持ちになりました。それで、水平に逃げることを止めて、垂直に上っていきました。すると、上空には天使がいました。私は死んだのかな、と思いました。死んだのかもしれません。私の足下にはぐつぐつと煮えたぎる地球の姿がありました。「ごらん、地球はもうおしまいだ」と天使が言います。「君はひとり取り残されてしまったんだよ」私は頷きます。そして空を見ると、その空はもう青くなく、本当の暗闇で、星がとても綺麗でした。