希望という名

はっきりしないことがきらいだ。結論は明解なほうがいい。せっかちなので、なるべくすぐ結論がほしい。
ある友人は、ずっとはっきりしない人間だった。何かと言えば適当に他人に合わせてものを言う人間だった。それが、最近すこしずつ変わってきたと思う。嫌なことは嫌だと言えるようになった。ほしいものはほしいと言えるようになった。誤魔化すことをやめるようになり、結論を出すことをおそれなくなった。そして彼はいま、もうひとつの結論をだそうとしている。いままでずっと適当に誤魔化してきたことに、結論をだそうとしている。私は彼が行動を起こした瞬間、泣いてしまった。悲しくてではない。たぶん、嬉しくて泣いた。そして思わず、「希望だ」とつぶやいてしまった。なんだか恥ずかしいが、ひとりでにつぶやいてしまったのだ。
人は変わることができる。間違っても、やり直すことができる。結論を出し、先へ進むことができる。私は思う。それは希望だ。私たちが変わること、変わることができるということ、それこそが、希望だ。